訳せない日本語〜日本人の言葉と心〜
大來尚順
前の投稿と同様、気に入った部分をご紹介します。この本を読んでいない方にお勧めしますので、以下の文章がご参考になれば嬉しいです。どうぞゆっくりお読みになってください。
そして、コメントでご意見を聞かせてくださいね。
それでは、どうぞ:
「こつこつ」の英訳
ページ132〜133
この「こつこつ」という言葉を英語にしてみると、一般的には「steadily」(しっかりと)、「untiringly」(根気よく)、「laboriously」(苦心して)、「work/study hard」(一生懸命働く/勉強する)というような英単語になります。ちょっとした慣用句だと「a little by little」(少しずつ)、「step
by step」(一歩一歩)というような表現になります。
これらはどれも懸命さが感じられる表現ですが、どうもあっさりし過ぎる気がします。何か大事なことが語られていないように思えるのです。
では、その「何か」とは何なのでしょうか。それは、一階がない二階の建物は存在しないように、土台や基盤を築いていることです。私は「こつこつ」とは、これから発展していくための基礎を構築することを意味するのだと思っています。
多くの人は、幸せや成功は速い先や未来からやってくるかのように幻想を抱き、先のことばかりに目や心を向けてしまいがちです。その結果、今の自分の足もとを見失いがちになり、足が宙に浮いてしまい、現実というものに足がついていない状態になっています。まさに一階を作らずして二階や三階を建築しているようなものです。
私は、「こつこつ」には、現実を見つめる作用もあるのではないかと思うのです。「こつこつ」を英訳する場合、「Building a foundation」(基礎を構築すること)や「To
open one’s eyes to the realities of life.」(現実に気がつかせること)とも表現できるのではないかと思うのです。
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